2009年 05月 19日
演技レッスンの際、初期の段階で「外郎売」を教材にします。 もともとは、歌舞伎の演目だったわけですが、(いまでも歌舞伎十八番のうちのひとつ)薬を売る口上部分が、発声、滑舌のトレーニングにいいということで、今でも、広く教材として用いられているわけです。 その内容について、ちょっと確認しておきたいことがあります。(内容を知っていることを前提に書きます) 後半部分の早口言葉で「たーぷぽぽ たーぷぽぽ ちりから ちりから つったっぽ たっぽたっぽ ×××・・・」 この×××の部分ですが、「一丁だこ」となっていることが多いようです。 でもこれ、私は「ヒィだこ」と教えています。 「一丁だこ」で覚えていらっしゃる方には、?でしょうね。その理由を説明します。 まず、「たーぷぽぽ たーぷぽぽ ちりから ちりから つったっぽ たっぽたっぽ ・・・」とは何でしょうか。 これは単なる音の遊びではありません。お囃子の擬音だと思います。 「たーぷぽぽ・・・」これは、鼓です。(鼓の譜面はぱぴぷぺぽで記します。) 「ちりから・・・」これは、三味線です。 つまり、この部分は、和楽器のお囃子の擬音になっているのです。 すると、和楽器で足りないものがあります。 「笛」ですね。 笛は、譜にする時、「は行」の音で現します。(ひゃらーり、ひゃらりこ、ひゃりーこ、ひゃられろ・・・笛吹童子) これで、鼓、三味線、笛の三点セット完成。だから、お囃子の擬音なので「ヒィ・・・」なのです。 さらに「ヒィ・だこ」を漢字で「干だこ」と書いてみます。これは、後につづく、「落ちたら煮て食お・・・」 につながっています。浜辺に干してあるたこが、落ちたら食べごろだから、煮て食べましょう、ということです。 「ヒ」という音韻が、「笛」の擬音の「ヒィ」、さらに「干・だこ」の「ヒ」と文節の前後に架かっている言葉遊びなんです。 では、なぜ「一丁だこ」が流布したのか。 江戸時代、ものを書く時は、縦書きでした。 これを見てください。 このように左から右のように書いているうちに、手書きによる写し間違いの誤差が生れて、いつの間にか、「一丁」がまかり通って入ったのではないか、と考えられるわけです。 如何でしょうか。
by yugikukan
| 2009-05-19 10:37
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