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幕間のメモ帳

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2011年 06月 25日

「詩の礫」以前に書かれた今回の公演で挿入する詩

「詩×劇 つぶやきと叫びー深い森の谷の底で」では、「詩の礫」以前に書かれた和合さんの詩を五編、挿入しています。以下の通りです。本文も抜粋します。



「バンザイ、バンザイ、バンザイ」(第三詩集「誕生」より)

 なぜなら窓の外は晴天なのです 晴天が続いている 続いている おはようございます
 バンザイしなさいと教師 鋭い太陽の光が零れ落ち まず朝の連絡をします
 教室は晴天が続いていますが 大丈夫ですか バンザイしなさい と教師
 窓ガラスの心は割れていませんが ここには教室がありません

 

「蝶をおいかけてゆくうちに僕らは真夏の無人の住宅街に迷い込み、ひどく不安であるからインタフォンに話しかけるのである」(第二詩集「RAINBOW」より)

 家家の焦げた廊下には巨大な触角の巻かれる姿が
 映る 僕らは焦りながらも巨大な蝶を育てている
 ともすれば蛛の中心は巨大に貧しいタ暮れとなり
 僕らはあたまの後ろでおもいおもいに手足のない蝶を飛ばし
 町を愛しながらも
 僕らは単純に貧しいインタフォンの陳列を抱え込み過ぎた
 


「OCEAN」(第三詩集「誕生」より)

 私の恋人は目を覚ます、私は海の誕生していく姿を話
 し出そうとし、ロの中の海の傾きに気が付いた。太陽は、
 巨大な一篇を完全に書き終え、太平洋がひどく重要な
 真昼の言葉を叫び始める。私ではない津波が竜巻と共に
 押し寄せる。



「犬を探してください 探してくださいよ」(第三詩集「誕生」より)

 ほおら ほら 手と足とが引っ掛かり 水の法則は笑いながら狂ってゆく
 浜辺の乾燥した網に吊るされている火星の果ては大雨になっている 間違って
 ばかりの黄色い飛行機の青々とした影に尾行される犬 を尾行する犬



「WAR」(第三詩集「誕生」より)

 俺の胸の中のプルトニウムに折れ曲がったフォークを投げ込め 投げ込め
 聞き分けることの出来ない入道雲の衝突が ああ そら恐ろしい



第二詩集は1999年、第三詩集は、確か2003年(出演者に貸していて手元にない)発行なのに、とても暗示的です。

そこには、津波、原発事故、避難区域・・・そういったことを彷彿させるイメージが描かれています。

詩人の感性は何を感じ、このような詩行を生み出したのでしょう。

by yugikukan | 2011-06-25 07:39 | 日記


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