2008年 07月 06日
「ここにいらっしゃるのは、戦後の日本を復興させた功労者です。大切にしなければいけません。」 先日の老人ホーム慰問公演の時、出演者のFさんが、突然声をあげて訴えました。Fさんは、60代後半ですが、ホームにいらっしゃる方は、Fさんの親に当たる世代。 今年は敗戦から60年あまり、敗戦時、子供だったFさんは、やがて高度経済成長を支える世代になるわけですが、その親にあたる世代は、戦後の混乱期に20代~30代だったわけです。 車椅子に乗りながら部屋から会場まで介護師さんに連れられてきて、私たちのシェイクスピアをご覧になっている方々のここまでの人生を思うと、Fさんの言葉のことばどおり、身の引き締まるおもいです。 ホームの掲示板の願い事のなかに 「家族と一緒に暮らしたい」 というのがあったそうです。 ホームは豪華リゾートホテルを思わせる立派な施設で、入居されている方々は、「なになに様」と呼ばれて、丁重にあつかわれていますが、その方々の願いが家族との同居であるというのに衝撃をうけました。 今、稽古している「言葉の力」のテキストの石牟礼道子さんと多田富雄さんの往復書簡「言霊 ことだま」のなかで、多田さんから、小泉政権の「リハビリ打ち切り政策」の話が出てます。 2001年に脳梗塞で半身不随になった多田さんは、その後リハビリを続け、体調の維持向上を図っていましたが、突然180日以上はリハビリが受けられないことになりました。 医療費削減が目的のこの政策は、さらに今年から施行された「後期高齢者医療制度」につながっていきます。 多田さんは、この問題に対して、「朝日新聞」の「私の視点」に投書しました。 「身体能の維持は、寝たきり老人を防ぎ、医療費を抑制する予防医学にもなっている。医療費の抑制を目的にするなら、逆行した措置である。」 「今回の改正は、「障害が180日で回復しなかったら死ね」というのも同じことである」 「それとも、障害者の権利を削って、医療費を稼ぐというなら、障害者のためのスペースを商業施設に流用した東横インよりも悪質である。」 と書いたそうです。 その投書は、44万4000人の署名活動に発展しました。 倒れてから、言葉の自由を奪われた多田さんの「言葉の力」です。 劇団JIBAという平均年齢70歳ぐらいの高齢者劇団の指導をここ数年していますが、いま休団しているOさんから、おいしそうな干物の詰め合わせが、お中元で届きました。 Oさんは、もともと学校の先生で、声はお腹からしっかり出ていて、2年前の公演で、男役をりりしく立派に演じていらっしゃいましたが、今は毎日、病院に通う日々だそうです。 贈り物のお礼かたがた、電話すると、最近、脊髄をけずる手術をうけて、1ヶ月間入院をしていたそうで、身長が6センチも縮んだというお話には、言葉を失いました。視力も弱まり続け、5メートルぐらいまで近づかないと、家族でさえも判別がつかないそうです。 今でもお芝居に対しての意欲は失っていないそうです。一時間座り続ける体力がついたら、てはじめに見学からでも、また劇団に戻ってきたいとおっしゃっていました。 お待ちしていますよ
by yugikukan
| 2008-07-06 09:32
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