幕間のメモ帳

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2009年 06月 18日

壁の中の妖精

演劇というのは、その場に居合わせないと体験できない一期一会の芸能ですが、その場にいられた幸福を心から感じられる舞台が時々あります。

そういった舞台には、カーテンコールの際に本当に熱い拍手が沸き起こります。そして、それはなかなか途絶えることがありません。真実の賞賛です。感動が自然に手を動かしてしまいます。

そんな舞台に久々に出会いました。

今月一杯、池袋あうるすぽっとにて開催されている「第一回日韓演劇フェスティバル」のなかの『壁の中の妖精』です。

これは十数年前に、福田善之作・演出、春風ひとみ主演で初演され現在300回近くも再演を重ねている舞台を、韓国のソン・ジンチェク演出、キム・ソンニョ主演で、つくった作品です。

イデオロギーの混乱から、身を隠さなければならなくなった男は、家の壁の中の僅かなスペースに隠れます。

壁から聞こえる歌声に、娘はそれを壁の中にいる妖精と思って、交流しますが、やがて、それが命がけでのがれている父親とわかります。

時は流れ、娘は恋をし、結婚し、そして、子供をもうけます。

国家の体制が変わるまで30年近くも家の壁に隠れていたという実話にもとづいた話で、韓国版では、朝鮮戦争の時代に設定を変えています。

そういった家族の一代記を娘、母親、父親、村の人々、警察官、ほか様々人物を、キム・ソンニョさんは、たった一人で演じていきます。

政治的な問題もさることながら、キム・ソンニョさんが演じるどの人物もとても魅力的で、時間を忘れて見入ってしまいました。
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すばらしい舞台に出会えた至福の体験は、いつまでも心に刻み込まれることでしょう。
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by yugikukan | 2009-06-18 10:41 | 日記


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