2011年 08月 23日
【今週の観劇作品】 8月20日(土)フェニックスプロジェクトvol.3『プレイ・リーディング 石棺』作:ウラディミール・グバリョフ 訳・演出:青井陽治(マイケル・グレニーの英語版に拠る)出演:水谷八重子、久野綾希子、新井康弘、松田洋治、田口守 ほか 於:笹塚ファクトリー 事実は覆い隠せないーもう、チェルノブイリのことは忘れて良いのじゃないかと言う人々がいる、もっと大事なことが、我々の注意を向けよと求めているのだから… 「いつまでこの悲劇を嘆き続けろと言うのだ?」 更に悪いことには、チェルノブイリについて真実を隠そうとする人々もいるーいや、嘘をつこうとする人々さえ。しかし、嘘が必要なのは、自分の仕事に全うできない人、自分の無能と臆病を隠さなくてはならない人たちだ。 チェルノブイリを繰り返さないための道はただ一つ。何が起こったのか、包み隠さずに真実を告げ、悲劇の原因について、精密に分析することーそして、罪人たちを逃がさないことだ。潔い真実以外に、我々に、未来の道を示すものはない… これは『石棺』の作者の発言です。 この言葉が今回の原発事故に全く重なることに驚きと失望を感じざるを得ません。 悲劇は繰り返されてしまったのですから。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『継志ー板橋での戦争を語り継ぐ』が終わりました。 板橋の区民の皆さんとのコラボレーションは大変意義のあるものでした。 来年以後の継続を望む声が打ち上げの席で多く上がっていました。 なかには舞台に立つことの魅力を知ってしまい、もう一度やりたいと言っている方もおられるようです。 「役者と乞食は三日やったらやめられない」とよく言いますが、今回の本番も三日間でした。 なるほど。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 日本演出者協会の国際演劇交流セミナー「スイス特集」が22日月曜日に始まりました。 一つの課題作品を8人の演出家が、ブレインストーミングという形で、演出方法を検討していくという大変ユニークな企画です。 初日には演出プランのプレゼンが行われ、8通りの演出プランが示されました。 課題の戯曲をどう読んだか、そしてそれをどうやって立体的にしていくのか、稽古での課題などが、8人の演出家によって提示されました。それぞれ違った視点が示され、同じ作品でも演出家の包丁さばきでずいぶん違うものだと実感しました。演出プランの提示は、スタッフに向けて、また稽古場でも私も演出をする以上、いつも行うものですが、あまり他人のプレゼンに接する機会がありませんので、大いに参考になります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 来月、昨年に続き、中津川で地歌舞伎コラボレーション企画をやります。 今年の課題は『仮名手本忠臣蔵』! しかも全段通しです。 歌舞伎でも丸一日かかる演目を二時間でやってしまおうと思います。(無謀ですが) 来週から稽古に入る予定。 今、準備に大わらわです。 こちらの情報は「日本演出者協会」のホームページをご覧ください。 #
by yugikukan
| 2011-08-23 08:36
| 日記
2011年 08月 19日
「継志―板橋での戦争を語り継ぐ」の初日です。今夜は雨模様なのが気になりますが、舞台の成功を願うばかりです。 そして今日は、かつて遊戯空間で活躍した故青木雪絵さんを偲ぶ「雪幻会」の日でもあります。初日が終わった後で、青木さんと関係のあった方々と亡き彼女を偲びます。それにしても、青木さんが亡くなってから、早いもので八年が経ってしまいました。 さて、稽古も追い込みだった去る8月15日に、板橋の空襲の痕跡を出演者と巡りました。 何気なく暮らしていた町のそこここに残る空襲の爪痕。 4月13日の空襲犠牲者供養の地蔵 天祖神社の被弾した狛犬 6月10日の空襲犠牲者の地蔵(平安地蔵) 現在、マンション建設ラッシュの様相を呈してきた板橋ですが、このような歴史をもった町であることをしっかり心にとどめたいと思います。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ところで、この文章を綴っているパソコンは今までとは違う場所にあります。 先にお伝えした通り、長年住んでいた泉町から前野町に移ってきたのです。 窓の外に広々とした空が広がっています(今は豪雨なのですが) さて、このように転居致しましたのには、理由があります。 皆さん、もうお気づきかもしれませんが、 私、篠本賢一は、来月、結婚致します。 (つづく) #
by yugikukan
| 2011-08-19 11:22
| 日記
2011年 08月 13日
金曜日、家電を買いに行く。 環八沿いのヤマダで、冷蔵庫と洗濯機を買った。 冷蔵庫は167Lのもの、洗濯機は容量5kgで洗濯層がステンレスのものを選んだ。ともに国産のメーカー。 そのほかに、東京電力、水道局、東京ガスに連絡し、転居してからすぐに使えるように準備もした。 インターネット、電話、テレビは、板橋区内なので、引き続きJCOMというケーブル会社の設備を使う。 新しい住まいは、高台にある3階建てマンションの3階なので、とても見晴らしがいい。 窓から見える景色は、電線や高層ビルにさえぎられることなく、空が大きく見える。 自動車が通る道路から少し入ったところなので、騒がしい感じはしない。それどころか、目の前に木の生い茂った公園があるので、静かだ。桜も植えられている。来年はその桜を見ながら、ベランダでお花見ができそうだ。 来週から荷物を運び始める予定。 というのも・・・(つづく) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「継志ー板橋での戦争を語り継ぐ」の稽古も佳境に入ってきた。 ピアノ演奏の藤田佐知子さんの演奏、音響効果なども絡めた稽古が始まった。 あまり途中で止めずに最後まで通してみる。 もう少しつめなければならないシーンもあるが、最終的にはメリハリのある舞台になりそうだ。 もうひと踏ん張りしなければならない。 明日はスライド映写も絡めた稽古になる。 #
by yugikukan
| 2011-08-13 20:52
| 日記
2011年 08月 08日
【今週の観劇作品】 8月5日(金)千賀ゆう子企画公演『平家を語る』~チェロとのセッションで語る「平家物語」原文の世界~ 構成/演出: 千賀ゆう子 出演: 加藤翠 木舘愛乃 清水周介 千賀ゆう子 笛田宇一郎(笛田宇一郎 演劇事務所) 村松真理子 楽士: 入間川正美〔チェロ〕 於:ストライプハウスギャラリー 私は東京の文京区大塚で生まれた。10歳の時、埼玉県浦和市(現さいたま市)に移り、8年程いたが、そこを移って現在の東京板橋区泉町に来た。 ここに来たとき、父は48歳、今の私よりも少し若い、母は41歳だった。 移ってきてすぐに、進学はせず、演劇をやりたいと言って、父と大喧嘩をした。 一週間、話し合ったが、結局、父は首を縦にはふらなかった。それでも私は演劇をはじめた。 それからの私は演劇三昧、やがて妹は短大に通う。妹は、小中学校時代の同級生で東北大学に通う彼と遠距離恋愛をしていた。(それから10年ほどして彼らは結婚する) 板橋に来て数年後、父は体調を崩し仕事ができなくなった。 癌だった。 当時の癌は死刑宣告のようなものだったから、本人には告知せず、少し軽い病名にして、母が自宅で看護していた。 仕事は、退職はせずに、自宅療養ということにして長期休暇を認めてもらえた。 終身雇用が基本だったサラリーマンの古き良き時代ともいえよう。 陽のあたる居間の縁側で静かに庭を見ている父の姿が目に焼き付いている。 ある夜、父が吐血し、救急搬送され、そのまま入院した。 母、妹と私、家族三人交代で看病をしていたのだが、私が宿直のある夜、演劇を続けている私を、頑固一徹なところは親子だから似るんだな、と笑ってくれた。 それから、三か月ほど闘病したが、父は亡くなった。 親不孝なことに、私は父の臨終に立ち会えなかった。 その日私は、当番ではなかったので、ダンスの稽古場へ行き、稽古の後、仲間と軽く一杯やっていた。父が亡くなったのはちょうどその頃だったようだ。 当時は携帯電話がなかったので、緊急の連絡はつかない。母は自宅に何度も連絡したが、私を呼び出すことはできなかった。 ちょっと虫が知らせて、私が病院に電話をしてみると 「お父様は霊安室に行かれましたよ」 と看護婦さんに告げられる。 私は自宅に帰り待っていると、妹が病院から一足先に戻ってきた。 父の亡がらを妹と二人で待つ。 その間、ふたりでダビングしてあった映画を見ていた、ぼんやりと。 日が昇らぬ冬の朝、父が運ばれてきた。 正月は家に戻りたいと言っていた父だったが、それはかなわず、1月の下旬に無言の帰宅となってしまった。 サラリーマンとして生き、家族を養い、東京に家を建て、そして、その家にはわずか6年しか住むことができなかった父。 その無念はいかばかりか。 父亡き後、この家に私は母と二十年以上住んだ。 四十代だった母は、今は七十代になり、背中が丸くなって、ずいぶん小さくなった気がする。 はじめはどうもしっくりこなかった板橋だが、長く住んでいるうちに、いろいろな思い出ができた。楽しい思い出はあまり覚えていない。なぜか、悲しい思い出、切ない思い出の方がすぐに思い浮かぶ。 しかし、住めば都のたとえの如く、見渡せばなんともあか抜けない感じの板橋が、どうも肌に合ってきたのかもしれない。 突然だが、来週、私は転居する。 今住んでいる泉町からさほど離れていない前野町に。 というのも・・・〈つづく〉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 劇団銅鑼主催公演「継志ー板橋での戦争を語り継ぐ」 稽古絶好調! 一般公募の「板橋区民のみなさん」チームが、劇団員を食うほどの存在感を見せはじめ、仕上がりが楽しみです。 この板橋でも戦争があった。 今では風化しつつある戦争の悲惨さが、体験手記を通して、痛切に実感できることでしょう。 それは、かの東北震災の現在とつながることが多いことにも驚かされます。 ぜひご覧ください。 チケットは、劇団銅鑼 tel03-3937-1101 fax03-3397-1103 板橋区立文化会館 tel03-3579-2222まで。 遊戯空間のホームページから、篠本に申し込んでも大丈夫です。 皆様のお越しをお待ちしています。 #
by yugikukan
| 2011-08-08 22:03
| 日記
2011年 07月 30日
【今週の観劇作品】 7月29日(金) オフィスN+ホリ・ヒロシ事務所公演「黄泉比良坂」~室内楽と人形舞の饗宴~ 於:サントリーホール ブルーローズ ヴァイオリン、コントラバス、パーカッションの室内楽に、ホリ・ヒロシさんの人形舞、能楽師のコラボレーション。ホールは演奏会仕様なのだが、素っ気ない環境のなかで、人形、能楽師、音楽が幽玄の世界を見事に現出させていた。 木曜日は、稽古終了後、急いで帰宅し、春に上演するはずだった「隅田川の線香花火」を、とある戯曲賞に応募するため、原稿を手直しした。諸所の事情で上演が果たせなかった作品だが、自分なり気に入っている。戯曲賞の選考委員がこれをどのように読むのか、興味がある。 応募〆切前日の郵送でギリギリセーフだった。 ところで近頃、何かと身辺が慌しい。 公私共にいろいろな出来事が続く。 一生の思い出になるような・・・。 あと数ヶ月で、五十歳になる。 織田信長の時代なら、もう寿命ともいえる年齢だ。 祖父も父親も五十代で亡くなっている。 私もいつの間にかそういった年齢になってきた。 この慌しさは、消える前の炎の燃えあがりか、はたまた、人生の絶頂の始まりか。 #
by yugikukan
| 2011-07-30 00:28
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